猫はおしっこのトラブルを抱えやすい動物です。
しかし、だからといっておしっこのトラブルを甘く見ていると時として重篤な症状を引き起こし、最悪死に至る場合もあります。
ここからは、猫のおしっこトラブルの原因の1つである膀胱炎について解説していきます。
要注意!猫の膀胱炎の症状
猫のおしっこトラブルの中で上位に入ってくるのが膀胱炎です。
膀胱炎の症状をそのままにしてしまうと尿道が塞がって尿が出ない状態(尿道閉塞)になってしまうことも少なくありません。
また、尿が出せないの状態が続いてしまうと、膀胱の中の尿が腎臓に逆流し、急性腎不全や尿毒症を引き起こすことがあります。
尿毒症になると、嘔吐や食欲不振、痙攣や昏睡、体温の低下といった多くの症状が見られ、迅速に対処しなければ命に関わります。
猫の膀胱炎の症状は以下のものが多く見られます。
・1回のおしっこの量が少なく、何回もトイレに行く(頻尿)
・半日以上おしっこをしていない
・おしっこが赤い、またはいつもと色が違う
・トイレ以外での排尿
・トイレで痛そうに鳴く
・においがいつもと違う
・陰部をいつも以上に舐めたり、気にする様子を見せる
といった症状があります。
猫の膀胱炎ってなに?
膀胱炎とは、様々な原因により膀胱に炎症を起こしてしまっている状態です。
また膀胱炎は猫に多く見られる「猫下部尿路疾患(FLUTD)」の要因の1つです。
そもそも膀胱とは
膀胱とは腎臓で作られた尿が尿管を通して送られ一時的に貯めておく臓器です。
貯まっている尿の量によって、膀胱自体も伸び縮みします。
水の量で大きさが変わる水風船をイメージするとわかりやすいのではないでしょうか。
尿が一定量貯まって膀胱が拡がったときに、尿意をもよおして排尿します。
膀胱は膀胱そのものが大きさを還ることで、常に排尿をコントロールしています。
膀胱炎の原因は?
膀胱炎の原因は3つに分けられます。
・尿路結石
膀胱にできた尿結石は膀胱の粘膜を傷つけるため膀胱炎を引き起こします。
尿結石は、食事のバランスや生活環境などが乱れると、尿のpHや尿の成分に変化が起こり、作られやすくなります。
・特発性膀胱炎
検査を行っても原因がはっきりわからない膀胱炎です。
猫の膀胱炎の約半分(10歳以下の場合 55-75%)がこれにあたると言われています。
また、多頭飼育などのストレスの多い環境で飼育されている猫や繊細な性格の猫で発症しやすい傾向があるため、ストレスも原因の1つではないかと考えられます。
・細菌性膀胱炎
細菌が外陰部から尿道を通って侵入し膀胱に炎症を引き起こすことで起こります。
原因となる細菌としては黄色ブドウ球菌や大腸菌などが多いです。
また尿路はメスの方がオスより短いので細菌感染が起こりやすいと言われています。
実はこの細菌感染が一番最初というのはあまり多くはなく、上の2つの原因による膀胱炎によって二次的に引き起こされることのほうが多いです。
※黄色ブドウ球菌…ヒトや動物の皮膚、消化管常在菌であるブドウ球菌の一つ
※大腸菌…哺乳類の腸内にいる細菌の一つ
まとめ
いかがでしたか?
膀胱炎はすべての猫にかかる可能性があります。
ですが、常日頃からチェックをしていれば早期発見、早期対処をすることは難しいことではありません。
「猫はおしっこトラブルが多い」と認識してトイレ掃除に少し気を配るだけでも、早期発見率は上がるはずです。
膀胱炎にいち早く気が付き、適切な処置を受けて愛猫の命が脅かされないようにしましょう。