私たちは「抜歯」と聞くと永久歯の生え代わりの妨げとなってしまっている乳歯や、痛みや歯茎の炎症の原因となってしまっている親知らず(第三大臼歯・智歯)に対して行われる処置と考える人が多いです。
ですが、抜歯は人に対してのみ行われるものではありません。
口の中の状態によっては猫にも抜歯の処置を行わなければならないときもあります。
この記事では猫に抜歯を行う目的と、その効果とリスクを解説します。
どうして猫に抜歯をするの?リスクはないの?
愛猫の歯を抜くことになったときに多くの飼い主さんは
「どうして抜かなければいけないの?」
「歯を抜くなんて怖い」
「歯を失うなんて可哀そう」
と、抜歯に対してほぼ9割以上の飼い主さんがネガティブなイメージや不安を感じるでしょう。
人も猫も永久歯を抜いてしまうと二度と生えてこないので、失うことを恐れたり嫌がることは当然です。
しかし、動物病院側も理由もなく抜歯を提案しているわけではありません。
ここからは抜歯の目的とリスクについて解説していきます。
抜歯の目的
抜歯を行う目的は「治療」です。
さらに詳しく説明すると抜歯を行う歯はすでにボロボロな状態の歯で、他に有効な治療もなく、残しておくことで「体にとって有害となる歯」に対して行われます。
また、抜歯を行うことで以下効果が期待できます。
・口の違和感や痛みがなくなる
・食欲が回復する
・行動が活発になる(おもちゃで遊ぶようになったりする)
・口臭が改善される
・ステロイド剤などの投薬をやめる・もしくは減らせる可能性が高くなる
抜歯が行われるケースで圧倒的に多いのが、重度な歯周病を抱えている子です。
痛みや炎症の緩和のためにお薬で抑える方法もありますが、一時的なもので薬の効果が切れたらまた症状は現れます。
そして、薬を使い続けていれば、だんだんと一回の投薬量も多くなります。
また、薬の長期投与による副作用も考えなければなりません。
抜歯をしなければいけない歯は、既に歯としての機能を果たせていません。
それどころか、歯石がびっしりこびりついた歯は雑菌と痛みの温床です。
雑菌と痛みの一因となっている歯を残しておいてもメリットはないため抜歯を行う場合がほとんどです。
抜歯のリスク
治療のために行われる抜歯にもリスクはあります。
それらは以下のものがあります。
・歯科処置を行うための全身麻酔によるリスク
・美観上のリスク(抜歯をした側から舌がはみ出てしまうなど)
ですが抜歯は、これらのリスク以上に抜歯による治療の効果が期待できると判断されたため、提案されている場合がほとんどです。
なので、抜歯の提案をされたときは、お互いに納得ができるまで担当の先生とよく話し合いをすることが大切です。
まとめ
いかがでしたか?
「抜歯」と聞くと身構えてしまいますが、それを行う理由と目的、効果とリスクを知ることで冷静に今後のことが考えられる余裕がうまれるのではないでしょうか。
しかし、一方でやはり歯がなくなるのは嫌だと思うのも飼い主心です。
そのためには、口の中を健康に保つことが何よりの予防です。
最近は猫の歯磨きグッズもたくさん売られていますので、愛猫とのコミュニケーション一つとして色々試してみることをお勧めします。