フィラリアと聞くと犬の病気と思われるかもしれませんが、実は猫もフィラリアに感染する事があるのです。
また、猫のフィラリアは知っていても、感染経路や症状まで知っている方は猫の飼い主さんでも少ないのではないでしょうか?
この記事では「猫のフィラリア」について解説していきますので、一緒に学んでいきましょう。
猫がフィラリアに感染する原因は?
まず、フィラリアとは糸状虫とも言われ、蚊によって感染が拡がる内部寄生虫です。
また、フィラリアにはいくつか種類があり、犬を終宿主とするフィラリアを犬のフィラリア(犬糸状虫)といいます。
※終宿主…内部寄生虫のオスとメスが生殖活動を行う動物(宿主)のこと
そして、猫が感染するフィラリアはこの犬のフィラリアになります。
猫がフィラリアに感染する流れは犬と一緒です。
具体的には以下の流れになります。
フィラリア感染の流れ
①蚊がフィラリアに感染している犬の血を吸う
②蚊の体内にフィラリアの赤ちゃんが入る
③②の蚊が他の動物の血を吸う時にその動物の体の中にフィラリアの赤ちゃんが入る
④動物の体の中に入ったフィラリアの赤ちゃんが約1か月かけて成長する
⑤成長したフィラリアは肺動脈や心臓に寄生し約4~6か月かけて脱皮をしながら成長する
判りにくい?猫のフィラリアの症状を解説
猫が感染するのは犬のフィラリアですが、症状は犬のフィラリア症とは少し違ってきます。
ここからは猫のフィラリア症の症状について解説します。
まず、猫のフィラリア症の症状の原因は2つに分けられます。
・死滅したフィラリアの幼虫
・生き延びた成虫
なぜ原因が2つに分かれるかというと、犬のフィラリアは猫の体の中では基本的に生き残ることができないからです。
理由は、犬のフィラリアは犬の体に適応するように進化してきたため、猫の体の防衛システムをかいくぐることができません。
そのため、フィラリアは猫の体の中では成虫になる前に死んでしまう場合がほとんどです。
しかし、稀ではありますが猫の体内のフィラリアが成虫まで生き延びてしまう場合も存在します。
この「死滅したフィラリアの幼虫」と「生き延びた成虫」かによって猫に現れる症状が違ってくるのです。
死滅したフィラリアの幼虫による症状
・喘息
・呼吸困難
これらの症状はフィラリア幼虫が死滅した際に肺の血管などに急性の炎症を引き起こす「犬糸状虫随伴呼吸器疾患」と呼ばれる呼吸器疾患によるものと言われています。
またこれら以外にも
・嘔吐
・食欲不振
・体重減少
もあります。
しかし、これらの症状は他の病気でも多く見られるため、フィラリアかそうでないかの判断が付きにくいのが現状です。
生き延びた成虫による症状
・突然死
さらに稀ですが
・失神(肺動脈に移行中に誤って脳に寄生した場合)
・失明(肺動脈に移行中に誤って眼に寄生した場合)
もあります。
猫の体で成虫になれたとしても、フィラリアは2~3年で寿命を迎えます。
寿命を迎えたフィラリアの死骸が血管内の異物となり、肺や心臓の血管を詰まらせることで、心不全を起こし突然死を招くと考えられているのです。
そして、猫の突然死の約1割がフィラリア症と言われています。
まとめ
いかがでしたか?
「フィラリアは犬の病気だから…」と考えがちですが、だからこそいざかかってしまうと重篤な症状を引き起こす厄介な寄生虫でもあります。
重篤な症状を引き起こす前にできれば予防したいと考えてくれている飼い主さんのために、別の記事では猫のフィラリア症の予防法についてまとめていますので、興味があれば覗いてみてください。