最近は飼育環境の変化や獣医医療の進歩に伴い、ペットの寿命が昔では考えられないくらいに長命になりました。
しかし、長命になればそれに伴う病気も目立ってきます。
その中の1つが「がん」です。
一言で「がん」といってもその分類はとても多く、できる場所や原因は様々です。
この記事では猫の皮膚にできるタイプの扁平上皮癌に注目して解説していきます。
猫の扁平上皮癌ってどんな病気なの?
扁平上皮癌は、皮膚の一番表層の表皮角化細胞(扁平上皮細胞)とよばれる細胞の一部が悪性腫瘍(癌)化する病気です。
扁平上皮細胞は主に皮膚や粘膜に存在するため、特定の部位に発生するものではありません。
しかし、猫の場合は耳翼、瞼、鼻鏡部によく発生する傾向にあります。
また、猫における扁平上皮癌は、猫のがんのなかでも比較的多く見られる部類です。
症状は?
扁平上皮癌の症状は以下のものがあります。
・初期
日焼けした部分に皮膚炎か起こり、毛が抜ける。
赤くなったり、かさぶたができたり、ただれたりなど状態は様々です。
・進行すると
日に日に病変が広がってくる。
特徴的なのが潰瘍を作り、周囲がただれてくる。
猫自身も違和感を覚え、痒がったり舐めたりする。
扁平上皮癌はごく初期の段階では、皮膚炎やケガと、見分けるのは大変困難です。
しかし、最初に見つけた時点から1週間経っても良くならなかったり、広がっていたりするようであれば、早めに動物病院へ連れて行きましょう。
扁平上皮癌になりやすい猫の特徴は?
扁平上皮癌になりやすい猫の特徴は、白い毛並みで青い瞳の猫に多いと言われています。
その理由は、色素の薄い毛色(白猫や毛色の一部が白い猫)は紫外線の影響を受けやすく、日光皮膚炎を起こしやすい傾向にあるからです。
日光皮膚炎は放置しておくと扁平上皮癌の引き金になりやすいため、白猫(もしくは被毛の色素が薄い猫)はそうでない猫に比べて扁平上皮癌になりやすいと言われています。
また、青い目の理由ですが、青い目と扁平上皮癌の因果関係はいまだにはっきりとしていません。
白猫の瞳の色は、緑色や黄色、青色がよく見られますが、その中でも特に青色が多いと言われています。
そのため、必然的に白色で青い目の猫の割合が多くなるため、このような結果になっているのではないでしょうか?
どうやって診断するの?
診断は目で見て直接確認する方法と、患部の組織を採取して病理検査を行う方法を組み合わせた結果を見て、総合的に判断をします。
治療方法は?
腫瘍のサイズや部位によっては、外科手術によって取り除くことができます。
場合によっては完治も望めるため、治療の第一選択肢として取られることが多いです。
しかし、腫瘍のサイズや範囲、できた部位によっては手術で完全に取り除くのが困難な場合もあるので、楽観していいものではありません。
手術以外では、放射線治療もある程度の効果が確認されています。
場合によっては放射線治療や化学療法の併用も考えられます。
まとめ
いかがでしたか?
猫の扁平上皮癌は初期であれば、完治が望めるがんの1つです。
そのためには、日頃からの愛猫の観察やスキンシップによる全身状態のチェックなどが大切になってきます。
愛猫との末永い時間のために、日々の小さな行いを積み重ねていってください。