バリカンやハサミをつかって毛をトリミングし、夏の暑い時期を涼しく過ごしてもらうために毛を短くする猫のサマーカット。
主に動物病院やペットサロンなどで行うことが多く、顔まわりと尻尾だけを残して体全体の毛をカットするライオンカットなど、見たことのある飼い主さんもいるのではないでしょうか。
見た目もおもしろ可愛く涼しそうなサマーカットですが、メリットとともにデメリットや注意点もあります。
猫のサマーカットを考えている場合、デメリットや注意点も知ってしっかり計画を立てましょう。
猫のサマーカットのメリット
猫にサマーカットをすることによって下記のようなメリットがあげられます。順番に見ていきましょう。
暑さの緩和と熱中症予防
猫の毛は夏毛と冬毛に分かれており、季節に合わせて毛を生え変わらせています。また自分の快適な場所を見つけるのも得意で体温調節が上手な生き物です。
しかし夏の猛暑と湿度では、空調の効いた部屋では問題がない場合が多い中、飼い主の外出時などで室内の気温が高くなってしまうと体温調節が追いつかない場合もあります。
そのような状況でも、サマーカットをすると通気性もよくなり体感的にも涼しく感じるため、暑さを和らげることができ熱中症の予防にもつながります。
掃除やブラッシングがラク
猫を飼っているとどうしても抜け毛が気になりますよね。サマーカットをすれば毛の量が減るのでブラッシングもしやすく、抜け毛の処理も減るでしょう。
また、長毛の猫の場合、毛玉になりやすかったりお尻付近の毛に排泄物がくっついてしまう事もありますが、サマーカットをすればこれらを軽減することができます。
皮膚の病気や毛球症の予防
気温が高く湿気も多くなると、皮膚が蒸れて皮膚病になってしまう場合があります。サマーカットして通気性をよくすれば、蒸れを軽減できるとともに皮膚の状態も観察しやすくなります。
また、毛づくろいによって引き起こされる可能性のある毛球症。毛が胃や腸で塊になってしまう病気ですが、サマーカットで毛の量を減らす事で予防につながります。
猫のサマーカットのデメリットと注意点
一見メリットの多い猫のサマーカットですが、デメリットや注意点もあります。
直射日光による皮膚の病気
猫の毛は体温調節とともに紫外線を防ぐ効果もあります。しかしサマーカットによって紫外線を浴びる量が増えてしまうと日光皮膚炎などの病気にかかってしまう可能性があります。
皮膚が蒸れるのを軽減するためにサマーカットしたつもりが、直射日光の浴びすぎで皮膚のトラブルになってしまう可能性もあるのです。
毛がなかなか元通りにならないことも
サマーカットによって急に毛が短くなってしまった猫の中には、違和感や不安を感じ、いつもより過剰に毛づくろいをしてしまう猫もいます。
そうなってしまうと、カットした後に徐々に伸びてきた毛が、毛づくろいによって切れてしまい元通りに生えそろうのに時間がかかってしまいます。
季節が変わり寒くなってきたときにも毛が元通りに生えそろわないと、低体温症のリスクもあるので、カットのタイミングや長さの調整などを検討する必要があります。
皮膚が傷付きやすい
上記のように毛が生えそろわないばかりでなく、過剰な毛づくろいによって皮膚を傷つけてしまう可能性もあります。
猫の舌はザラザラしているため、自ら皮膚を傷つけてしまい炎症をおこしてしまう場合もあるのです。
猫のストレス
サマーカットする際、不慣れな猫だと長い時間がかかってしまったり、場合によっては鎮静剤や麻酔が必要なこともあるようです。猫にとっては大きなストレスとなってしまいます。
猫にサマーカットは必要か
このように、サマーカットによって暑さを緩和し熱中症や皮膚病などの緩和・予防とともに掃除やお手入れがラクになるというメリットがある一方で、紫外線や毛づくろいによる皮膚のトラブルやストレスのリスクなどデメリットもあります。
「サマーカットするべきか?」と、暑さ対策を考えてあげることは良いことですが、逆にトラブルになることがないようにメリット・デメリットをしっかり知り、猫の性格や普段暮らしている環境も十分に考慮した上で、慎重に判断しましょう。また判断に迷ったら獣医師に相談することも大事です。