「猫は虫歯になりにくい」と聞いたことはありませんか?
これは事実で、猫のお口トラブルは虫歯ではなく口内炎や歯周病などが圧倒的に多いです。
しかし、なぜ猫は虫歯になりにくいといわれるのでしょうか?
それにはきちんとした理由があります。
この記事では猫の「虫歯にならない理由」について解説します。
猫の虫歯って何?なりにくいって本当?
猫は人間でいう「虫歯(齲歯/うし)」にはなりません。
それは、猫と人では口の構造や食事のとり方などが全く違うからです。
ここからは、虫歯についての基礎知識と猫が虫歯にならない理由について詳しく説明します。
そもそも虫歯って?
虫歯とは口の中の虫歯菌(主にミュータンス菌)が作り出した酸によって歯が溶かされてしまうことで起こります。
この虫歯菌は「酸性の環境」と「糖」を好みます。
「酸性の環境」とは口の中の㏗のことです。
人の場合は口腔内のpHは6.8~7.0の中性です。
ですが、何らかの原因(ストレスや不規則な生活、加齢など)によって唾液の分泌が減ると口腔内が酸性に傾きます。
酸性に傾くことで歯が溶けてむし歯になり易くなります。
そして、口の中の㏗が5.5を下回ると脱灰(だっかい/エナメル質が溶け出すこと)が起こり始めます。
口の中が脱灰方向に傾き歯のエナメル質が溶け出すと初期むし歯の発生を促します
猫が虫歯にならない理由
猫が虫歯にならないと言われている理由は以下の3つです。
・口の中の㏗が高い(アルカリ性)
・奥歯に食べかすが残りにくい構造になっている
・「炭水化物」を摂取する必要がない
詳しく説明します。
まず、猫の口腔内はアルカリ性(pH7.5~8.5)です。
そのため、酸性の環境を好む虫歯菌は猫の口腔内では増殖が難しいといわれています。
次に、猫は完全肉食動物です。
そのため、歯の構造は肉を切り裂くために山状になっています。
この山状の形のおかげで、奥歯同士が密にくっつく必要がなく、間隔が空いています。
さらに、上下で合わさる面積も少ないので、食べかすが残りにくく、虫歯菌にとっては住み着きにくい環境となっています。
そして、本来猫は「炭水化物」を食べる必要はありません。
なので、猫の口の中には炭水化物の消化のために必要なでんぷんを糖に分解する酵素「アミラーゼ」がありません。
結果、虫歯菌は「糖」を得ることが難しくなります。
このような理由から「虫歯菌は猫の口腔内に存在しない=虫歯にならない」というわけです。
まとめ
いかがでしたか?
猫は本来、虫歯とは縁遠い動物です。
しかし、現代の猫の食事は狩りからキャットフードに変わりました。
実際、フードやおやつによっては糖類を多く含んでいたり炭水化物を主成分としたものも多く売られています。
また、食事によっては歯に残りやすく、歯垢や歯石の原因にもなります。
愛猫のお口の健康のために今からでもデンタルケアを行ってみるのはいかがでしょうか。