「ねこまんま」とは、一般的にご飯にかつお節をかけたものや味噌汁をかけたもののことをいいます。「ねこ」の「まんま」ということは、猫のごはんとして食べさせてよいものなのでしょうか?
ねこまんま=猫のごはん?
日本ではごく近年までペットに専用フードを食べさせるという習慣はなく、猫や犬には残り物を食べさせていました。米飯に魚の骨や、だしを取った後の煮干しやかつお節などが添えられたものが「ねこまんま」(犬の場合は「犬飯」とも)と呼ばれてきました。
いっぽう、江戸時代に庶民の間でご飯に味噌汁やかつお節をかけるだけの簡素な食事が広まりました。これは貧しい庶民の間で取り入れられた、おかずがなくともご飯が食べられる節約方法であったとされています。汁かけ飯やかつお節飯は猫の餌のような簡単で粗末な食べ物、という意味で「ねこまんま」と呼ばれるようになりました。
つまり現在ねこまんまと呼ばれている食べ物は、もともと猫のごはんだったわけではありません。
ねこまんまは猫に与えてはいけない
猫に餌としてねこまんまを与えるのはおすすめしません。ねこまんまには、猫の身体によくない食材が使用されているためです。
猫の身体によくない食材とは、どんなものでしょうか。
味噌汁
猫に味噌汁がよくないのは塩分量が多いためです。
猫には汗腺がなく、汗をかきません。そのうえ猫の祖先は砂漠で暮らしていたため、あまり水分を飲む習慣がなく尿の量も少ない傾向にあります。塩分を摂りすぎてしまうと他の動物以上に腎臓に負担がかかり、病気の原因になります。
また、味噌汁の具としてよく使用されるネギ類は猫が食べると命にかかわる危険なものです。
かつお節
猫の好物、というイメージの強いかつお節ですが、こちらも猫の身体にはよくありません。かつお節にもやはり塩分が含まれているため、腎臓に負担をかけてしまいます。
最近では猫用に減塩処理されたかつお節も市販されているので、あげたい場合はそちらを選ぶようにしましょう。
また、かつお節にはマグネシウムも豊富です。マグネシウムは摂取量が多いと尿路結石などの原因になることもあります。減塩のかつお節であっても、あげすぎには注意が必要です。
米飯
決して食べさせていけないわけではありませんが、猫の主食には向いていません。
猫は完全肉食動物で炭水化物を消化する酵素を持っていないため、大量に食べると消化不良を起こすことがあります。
また、米飯がメインの食事ではたんぱく質などの猫に必要な栄養素が不足してしまいます。
猫にはねこまんまでなく専用フードを
猫にねこまんまを与えていたのは、まだペットの健康についての関心が高くなかった時代の話です。
現在では猫に必要な栄養素がきちんと入った専用のフードがたくさんあります。愛猫の健康のためには、ねこまんまではなく専用のフードをあげるようにしましょう。