私たちは普段生活していて「甲状腺」という器官を意識することはほとんどないと思います。
しかし、この甲状腺は私たちがアクティブに活動するためには、なくてはならない器官の一つです。
ここからは、甲状腺の病気の一つである「甲状腺機能亢進症」について解説していきます。
猫の甲状腺機能亢進症ってなに?
甲状腺機能亢進症とは言葉通り甲状腺の機能(働き)が亢進(たかぶる)症状のことをいいます。
具体的には甲状腺からサイロキシンというホルモンが過剰に分泌されることによって起こります。
このサイロキシンが過剰に分泌されることによって体に様々な問題が発生するのです。
そもそも甲状腺ってなんなの?
甲状腺とは甲状軟骨(人では喉仏にあたる)のすぐ下にある内分泌器官でサイロキシンとカルシトニンというホルモンを分泌します。
このサイロキシンは活発に活動できる体を準備しておくために、様々な場所で働くとても大切なホルモンです。
このホルモンの主な働きは2つです。
・タンパク質の合成を促進して筋肉を発達させ、脂肪やグリコーゲンの分解を促進してエネルギー源を確保
・赤血球の産生促進
があります。
ですので甲状腺とはすごくざっくりとまとめると、体を常にオンの状態にしておくホルモンを出す器官になります。
※内分泌器官(内分泌腺)…ホルモンを産生・分泌する器官(腺)のこと
※グリコーゲン…動物が体内で作る炭水化物の一種。
特に肝臓・筋肉などに含まれる。
エネルギー代謝に必要な物質。
カルシトニンも勿論とても重要な働きがありますが、今回の病気には関係がないので説明は割愛します。
病気の原因は?
猫の甲状腺機能亢進症の原因は、甲状腺が腫瘍化してしまい起こります。
この腫瘍化は10歳を過ぎた猫に起こることが多く、品種や性別は関係しません。
どんな症状が出るの?
甲状腺機能の特徴的な症状を、9つ紹介します。
・食欲が止まらない
・水をたくさん飲む
・おしっこの回数や量が増える
・落ち着きがなくなる
・怒りっぽくなる
・過度な毛づくろい
・脱毛
・食べているのに瘦せる
・暑がりになる
これらの症状が見られることが多いです。
甲状腺機能亢進症を患っている動物を見た人の多くは「目つきがギラギラしている」といった印象を持つそうです。
また、これらの症状は飼い主さんによっては「愛猫の認知症」と感じる方もいます。
まとめ
甲状腺機能亢進症の中には一見すると病気と感じにくい変化があります。
しかし、もし愛猫が10歳を超えていたら念のため注意した方がいいかもしれません。
猫にとって10歳という年齢はシニアの域です。
人も猫も、年を重ねるにつれ体が変化し、若いころには想像がつかなかった不調に悩まされることもあります。
「年だしなぁ」「ボケたのかな」と思わずに一度動物病院へ相談してみることをおすすめします。