私たちは「リンパ腫」と聞くと何を思い浮かべますか?
「良性」「完治」などのワードが出てくる人は少ないのではないでしょうか。
そして、愛猫がリンパ腫という診断を受けた時、すぐに冷静に受け止められる飼い主さんはさらに少ないかと思います。
リンパ腫という病気を知った上で病気と向き合い、飼い主さんと愛猫にとっての幸福の手助けになれるように、この記事では猫のリンパ腫についてできるだけわかりやすく解説していきます。
猫のリンパ腫ってどんな病気?
リンパ腫とはリンパ組織の中で増えていく腫瘤(細胞の塊)のことです。
そしてリンパ腫は腫瘤を作る場所によって型が分かれ、症状もそれそぞれ違ってきます。
型としては6つに分けられ
・胸腺型
・多中心型
・消化器型
・腎型
・皮膚型
・その他
というように分けられます。
特に猫のリンパ腫では「胸腺型」と「消化器型」がよく見られる傾向にあります。
そもそも「リンパ」って何?
リンパとは以下の3つの総称です。
・リンパ管…血管のように張り巡らされた管
・リンパ液…リンパ管の中を流れている体液
・リンパ節…リンパ管の要所に位置する中継地点
また、リンパ節には2つの重要な働きがあります。
1つは体を病原体などの外敵から守る「免疫機能」、2つ目は老廃物の回収と運搬を行う「排泄機能」です。
このため、リンパ節は体にとって関所のような組織であり体の各所にあります。
人では全身に500個以上あるといわれています。
リンパ節の大きさは様々で猫から中型犬くらいなら米粒大から大豆大くらいです。
そもそも「腫瘍」って何?
腫瘍とは、体を構成している細胞・組織の一部が体全体のバランスを無視して、過剰に増殖を繰り返す細胞のかたまりになったものです。
腫瘍は良性腫瘍と悪性腫瘍に分けられます。
悪性か良性かの判断は通常の診察で見極めることができません。
そのため、細胞診や病理組織検査が必要になります。
腫瘍に関しては、まだまだたくさんの用語や分類の仕方があります。
ここではあくまでも腫瘍に関するごく一部の用語をかなり簡潔にまとめたものになりますので、この記事で興味を持っていただけたら腫瘍専門の記事などを読んでいただけるとさらに詳しく書いてありますのでオススメです。
猫のリンパ腫の治療法は?
リンパ腫の治療は抗がん剤を使うことが多いです。
ですが、抗がん剤の種類によっては強い副作用を伴うものもあります。
しかし、上手に使えば確実に延命し、病気にかかった子が飼い主さんとの楽しい生活を過ごすチャンスを作ってくれる薬となります。
そのため、リンパ腫の治療にはいろいろな検査が必要で
・何型なのか
・どこまで広がっているのか
・全身状態はどうか
・内臓機能はどうか
などを検査する必要があります。
しかし、全ての猫が抗がん剤の治療を受けるわけではありません。
・抗がん剤を受けられる体調かどうか
・抗がん剤治療を補助する治療の有無
・抗がん剤以外の治療はあるのか
・使用する抗がん剤の副作用は何があるのか
・どのタイプのリンパ腫がどれくらい進行していて余命はどのくらいか
・抗がん剤治療によってどのくらい延命できるのか
・抗がん剤をどのくらいの間隔で投与し、治療費はいくらかかるのか
これらのことをよく獣医師と飼い主さんが相談したうえで、治療方針を決め進めていきます。
まとめ
いかがでしたか?
飼い主さんとしては愛猫がリンパ腫に罹ってしまう状況というのは想像したくないものです。
しかし現実として、「腫瘍」というものは足音を立てずに私たちに近づいてきます。
万が一、リンパ腫になってしまった時に、知識を持っているかいないかで心を落ち着かせるまでにかかる時間が違ってきます。
そして飼い主さんの心の動揺は猫にも伝わりますし、そうなってしまった時に愛猫を支えてあげられるのは飼い主さんである貴方です。
この記事が貴方の心構えの手助けになれたのなら幸いです。