子猫が吐いてて、ご飯を食べないんです…。」
本来、やんちゃ盛りで食欲旺盛の子猫が吐いたり、ご飯を残したりしたら心配ですよね?
動物病院では、このような主訴で来院される方はたくさんいらっしゃいますので、珍しいことではありませんが、その理由は様々です。
ここでは、動物病院で働く筆者が経験した中でも、特に多かった「子猫の食欲不振と嘔吐の理由」を紹介していきたいと思います
子猫が吐いて、餌を食べない理由
緊急性の高いものから順番に、ご紹介していきます。
ウイルス感染症
最も怖いのがこれです。特に出会う頻度の多いものを2つ、ご紹介します。
パルボウイルス感染症
言わずと知れたパルボウイルス感染症、と言っても、一般の方にはあまり知られていないのが現実です。多くの野良猫ちゃんが保有しており、特に子猫が感染すると致死率は90~95%と言われています。
感染力がとても強く、ウイルス保有猫と少しでも接触した猫は、ほぼまちがいなく感染しています。すぐに治療を始めないと助かりません。
猫伝染性腹膜炎(FIP)
「猫腸コロナウイルス」が突然変異を起こすと、「猫伝染性腹膜炎(FIP)ウイルス」という致死性の病気を引き起こすウイルスになります。この病気では、吐いたり、ご飯を食べなくなったりする他に、腹水や胸水が溜まることがあります。
異物の誤飲による胃腸閉塞
元気でいたずらっ子で、食欲も旺盛だった子猫が、突然何も食べなくなったり、食べた物を全て吐き出したりするのであれば異物を疑います。胃腸の閉塞を起こしている可能性があります。
いくら犯行現場を見ていなくても、何も心当たりがなくても、やんちゃな子猫はこっそり何かを飲み込んでしまうものです。
寄生虫感染症
猫回虫や猫条虫、コクシジウムやジアルジアなど、子猫のお腹には様々な寄生虫が住んでいる可能性があります。
特に、昔お外に住んでいたことのある子猫ちゃんは、そのほとんどが何かしらの寄生虫を保有しているというデータも報告されています。
ストレスや胃腸炎
子猫は環境の変化やご飯の変化に敏感です。成猫であれば、ちょっとの変化や刺激くらいはへっちゃらだったりしますが、免疫力が弱く、全てのことが初めての子猫にとって、環境やご飯の変化は大事件だったりするのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ただの食べすぎによる胃腸炎から、死亡率の高い感染症まで、「子猫の食欲不振と嘔吐」の原因は多岐にわたります。
ただ、一つだけ確実なのは、子猫が吐いてご飯を食べなくなるというのは、まちがいなく緊急事態です。
おかしいな、と思ったら、様子を見ないですぐに動物病院に連れて行ってあげてくださいね。