日本では猫の好物といえば魚、というイメージが定着していますね。しかし、海外では猫に魚を与える習慣がない国も多く、好物というイメージは持たれていません。どうして日本では「猫には魚」なのでしょうか?
猫の祖先は魚を食べていなかった
現在ペットとして飼育されている猫の祖先は、リビアヤマネコというアフリカ周辺の砂漠地帯に生息するネコ科の動物です。砂漠では魚が少なく、おもに鳥や小動物を食べて生活していました。また、雨の少ない地域に生息するリビアヤマネコは、体が水に濡れるのを極端に嫌います。水に入って生きた魚を捕まえたりはしません。
好みかどうかというよりも、魚を食べる機会自体が少なかったのです。
日本ではなぜ魚を与えるの?
ではなぜ日本では猫が魚を食べるのかというと、理由は日本人の食生活にあります。
日本では風土や宗教の思想などが原因で肉食は浸透せず、魚が主なたんぱく源でした。肉が家庭の食卓に並ぶようになったのは昭和に入ってからです。
猫専用のフードが大衆向けに販売されるようになったのは1970年代(昭和40年代後半)です。それまで猫は人間と同じものや残り物を食べていました。日本人が習慣的に魚を食べていたため、猫も魚を食べるようになったのです。
海外の猫たちが食べているもの
猫の食べ物が人間の食生活に影響を受けているのは日本だけではありません。
イタリアの猫はパスタ、アメリカの猫はピザ、メキシコの猫はトウモロコシを食べるといわれます。日本における魚と同様で、飼っている人間がよく食べている食べ物だということがわかりますね。
猫に魚を食べさせる際の注意点
日本の猫にはなじみのある魚ですが、与え方や種類によっては猫の健康に害になることもあります。食べさせるときは以下の点に注意しましょう。
生魚は与えない
生の魚、特に青魚にはアニサキスという寄生虫がいる可能性があります。アニサキスがいる魚を生のまま食べるとそのまま胃腸に寄生されてしまい、激しい腹痛が起こります。
刺身用の魚はアニサキスがいる可能性は低いです。しかし、刺身の与えすぎはチアミン欠乏症を引き起こし運動障害などが発生することもあります。
青魚は少量にする
青魚に豊富に含まれる不飽和脂肪酸は人間の健康によいとされますが、猫がたくさん摂ると黄色脂肪症という病気の原因になります。
少量であれば問題はありませんが、常食させるのは避けましょう。
まとめ
日本の猫がよく魚を食べるのは好みではなく、日本の環境に順応した結果といえます。しかし本来の猫は肉食です。専用フード以外の餌をあげる際には、食べさせても大丈夫なものかきちんと調べましょう。