耳の先がV字に欠けている野良猫を見かけたことはありませんか?耳は事故やケンカで欠けてしまったわけではありません。人間の手によってカットされたもので、野良猫を守るための大事な目印なのです。
カットされた耳にはどんな意味が込められているのかについてご紹介します。
猫の耳カットにはどんな意味があるの?
猫の耳カットには「繁殖力のない猫である」という意味があります。
近年、野良猫をそのまま放置するのではなく、ボランティアや地域が協力して管理しようという「地域猫活動」がすすめられてます。地域猫活動の一環としておこなわれるTNRで、不妊手術を受けた猫の目印として耳をカットしているのです。
TNRとは
TNRはTrap(捕まえる)、Neuter(無性にする)、Return(戻す)の略です。野良猫を捕まえ、避妊や去勢の処置をしてもとの場所に返す活動のことをいいます。
猫はとても繁殖力が強く、放っておくとどんどん増えてしまいます。猫によっては1年に20匹もの子猫を産むといわれます。不妊手術によって、野良猫の数の増加を抑えることが目的です。
子猫の殺処分が減らせる
野良猫が産んだ子猫たちに待っているのは、外での過酷な生活や殺処分です。環境省の発表によると2019年度には約2万7千匹の猫が殺処分されていて、そのうち約1万8千匹が離乳前の子猫です。
生まれてすぐに処分されてしまうかわいそうな子猫を減らすために、野良猫への不妊手術はとても大切なのです。
成猫も守れる
耳をカットされた猫は「野良猫」ではなく、地域の人たちが管理する「地域猫」です。野良猫は保護されたあと引き取り手が現れなければ処分されますが、地域猫は管理する人たちがいるので処分対象にはなりません。
また、TNRによって不妊手術済の猫が気付かれずに再度捕獲されて、体にメスを入れてやっと手術済みと分かった事例もあります。そういったトラブルを防ぐためにも耳のカットは重要なのです。
耳をカットされた猫は痛くないの?
耳のカットは不妊手術後、麻酔が効いている状態でおこなわれるので痛みはありません。傷口はきちんと止血などの処置をされるため、出血もほとんどありません。
耳のカットの形に意味はあるの?
耳のカットはV字型のほかに平行型や、半円形などさまざまな形があります。カットの形については明確な決まりがないため、獣医さんによって違うだけで特に意味はありません。
左右の耳どちらをカットするかは性別によって分けられていて、オスが右耳、メスが左耳をカットします。
まとめ
耳カットをされた猫たちはかわいそうな猫ではありません。子孫を残すことはできないものの、地域の人たちに見守られ人間と共存しています。いつ殺処分されるか分からない野良猫よりもずっと幸せなのです。
耳が欠けている猫を見かけたら、優しく見守ってあげてくださいね。